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タイの一部稲作農民が反政府活動への参加示唆

記事の概要

反政府デモが続くタイで市場価格を上回る米の買取価格を保証する政府の施策をめぐり、稲作収入を受け取ることができなければ反政府活動に参加すると一部稲作農民が警告した。

米の買取価格保証施策はインラック政権の重要政策となっているが、財政悪化を受けて稲作収入の受け取りが数ヶ月遅れていると一部農民は主張している。

農村を支持基盤とするインラック首相にとって、さらなる逆風となる恐れがある。

元の記事を読む→ 【2014年01月21日:Reuters

バラマキ政策がブーメランリターンw

こういう展開になりましたか。あぁ、そうですか。(棒読み)

インラック首相の兄、タクシン氏が首相であった頃からタイ北部の農村地帯はタクシン派の支持基盤でした。なぜ支持基盤になったのかというと、端的に言えばバラマキ政策をしたからです。元記事に出てくる米買取価格もその一つです。

こまかい数字は知りませんが、例えば米の市場買取価格が100円だったとします。これに対してインラック政権は150円で買取るとしたわけです。(本当は米を担保に150円を融資するとしたのですが、米を100円で市場に売るより政府に担保で渡して150円借りて返さないほうが良いので、実質的に買い取りみたいになりました。)

しかし、原価150円の米がそのまま市場で売れるわけがありません。そのまま置いとくわけにもいかないので、政府は原価割れで市場に流します。その赤字が積もり積もって3千億円だったかな。とにかくとんでもない財政負担になってしまったわけです。

それで政府内でこの政策の見直しが検討され、それに対して農民が「話がちゃうやんけ~!」と反発しているということです。

ちなみに、農民から150円で買い取るなんてことをしたので、それまで市場で100円で買い取っていた米流通に関わる人達は商売上がったりで反タクシン派になります。事実上の農村優遇で財政赤字になったわけですから、都市住民や中間富裕層、インテリ層も反タクシン派になります。何してんだよインラック?ですよね。

日本も笑えないよね

票を買うためにバラマキ政策をした。だけどバラマキ政策を続ける財源が足りなくなった。その途端にバラまいた相手が逆に敵になった。絵に描いたような大失敗です。

しかし果たしてこのタイの惨状を見て我々日本人は笑うことができるでしょうか? 農民や農協に金をばらまいて票を買って、その支持を失わないように必死になってTPPの農業分野を守ろうとしている日本と何も変わらないではありませんか。

民主主義とはとどのつまりは票集めです。そもそもこうなる危険性を内包しているのが民主主義というシステムです。何かの本に書いてましたけど、民主主義とは人類が発明した最も「マシ」な政治システムだ、って。確かにそうだなと思います。

政治教育をすべきでは?

ではどうすれば良いのか。政治家が票を得るためにバラマキをする、バラマキ政策というニンジンを有権者の鼻先にぶら下げる、それがなくなることはないでしょう。

であるならば、我々有権者が賢くなるしかありません。バラマキに飛びつかない。本当に国の為を考えて政治家を選ぶ。そうしなければ民主主義というシステムの弱点をカバーすることはできない。逆に言うと、民主主義とは賢い国民にのみ採用が許される政治システムなのかもしれません。

我々日本国民を民主主義の使い手に値する賢い国民にするにはどうすれば良いのか。それはやはり教育しかないのではないでしょうか。中学高校あたりでしっかりとした政治教育を行う。そうしなければ日本もまたタイのように世界に恥をさらす日が来ないとも限りません。